「いつの間にか追いつくことをあきらめていたのかもしれない」 (石堂航平)

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「いつの間にか追いつくことをあきらめていたのかもしれない」

「いつの間にか追いつくことをあきらめていたのかもしれない」
僕と父はまあまあ仲が良い。
だが昔に比べたら、昔ほど仲良くないような気がする。僕が小さい頃はよく遊んでくれた。正直父の方が僕よりもはしゃでいた。海に連れていてくれた時も僕をほったらかして沖まで泳いでいく。その父を僕は必死に追いかけていた。小学校の5年生の時に授業参観で「将来の夢」については発表する場があった。みんなの夢はケーキ屋さん、サッカー選手、弁護士...だった。当時の自分は特に夢がなかったので悩んだ。悩んだ結果、「僕はなりたいものとか特にないので、お父さんのようになりたい」と発表していた。小さなころは父に少しでも追いつきたいと気持ちがあったのかもしれない。

成長するにつれて父との会話が少なくなり中学校の頃には「お父さん」という言葉を言うのがいやだった。ある時「これから親父って呼んでいい?」と父に尋ねたら「一人前になってからや」と言われていまだに「お父さん」と呼んでいる。父からしたら僕はまだまだ未熟者みたいだ。よく考えたらいまだに父に勝っているものは特にない。腕相撲すら勝ったことがない。

なぜか、震災のことを考えると自分の父親のことを考えてしまう。

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