起震車体験記「いい体験なのか、悪い体験だったかは今の僕にはわからないかもしれない」(石堂航平)
同じ「揺れ」でも意識が変わると全然違う。
10月6日(日)僕らは兵庫県の三木市にある「兵庫県広域防災センター」を訪問した。
今回の目的、「起震車」に乗って地震を体験すること。
僕は起震車に乗るのは人生で2回目の経験。
1年前にインテックス大阪の展示会でたまたま起震車を発見し体験した。
その時は「地震を体験したい」という気持ちではなく「ものすごい揺れるからおもしろそう」とテーマパークのアトラクションに乗る感覚に近かった。
僕は起震車に体験することで「揺れ」を楽しんでいたかもしれない。
今回は体験の前に震災に関する講話を聞いていた。その中でも東日本大震災の津波の映像が衝撃だった。
自然災害が人の命を奪っていく瞬間の映像見たときにこれから起震車に乗って実際の震災の揺れを体験するのが怖い……
講話が終わり起震車に乗るまでに、みんなと話すことで気持ちを紛らわせていた。
「いよいよ体験だ」前回経験した時とは違って周りに親しい友人たちがいる。
揺れる準備している時に、僕の目の前に仲が良いこうきが直立不動で立っていた。
その姿を見て僕は、「いくら体験とはいえ支えなしに体験するのは危ない」という気持ちとは別に地震の疑似体験だと分かっていたけど不安に感じてしまった。
「実際に地震が起きたら一緒に体験している周りの友人は死んでしまうかもしれない」。
だから、いつもの1.2倍ぐらいの声で「こうき、しっかり持って!」
それは「こうき、死ぬなよ」と言っているような気持ちなのかもしれない。体験が終了した時、僕は今回「揺れ」は楽しめなかった。
この「リメンバー117」の活動に参加してから震災や防災の話を聞くことが多くなり防災の意識が芽生えるのと同時に地震に対する恐怖心が少しずつ感じる。
だから、今回の起震車の体験をしている時に
「自分はいざという時に大切な人を守れるか?」
「そもそも人の心配をしていると自分が死ぬのでは?」
と自問自答していた。
あとで撮影してもらった写真を見ると、僕の表情は少しはにかんだような何とも言えない表情だ。
(起震車で震度7の揺れの体験している時の写真)
今回の経験はいつ来るか分からない地震に対してさらに不安になると同時に、「このままの意識だとだめだ」と防災をより考えるようになった。
僕にとっていい体験なのか、悪い体験だったかは、今の僕はまだ分からないかもしれない。
▶︎前回の記事 このまま逃げていいのか いや、一度向き合ってみよう