Iさんに聞く 後編(原 郁海)

remember117

仕事している間に余震は来る

怖い

でも

何かできることがないかな

いてもたってもいられない

歯がゆい

リスナーに役立つ情報を届けたい

被災していても仕事をしなければという「使命感」があった

 

 


「頑張ってくださいではなく、我々も被災者だから一緒に頑張ろう」

当時リクエストが多かった曲は、坂本九さんの「Sukiyaki」

上を向いて歩こう

涙がこぼれないように

泣きながら 歩く

一人ぽっちの夜

お金なんて役に立たない

自販機も使えない

電話は2時間並んで無料

お金を使うところなんてなかった

裸足で逃げたら、コンビニのおにいちゃんが「通勤快速」をくれて暖を取れた


私は生かされている

たまたまが重なったのだ

KissFMに勤めていたから

ジャックダニエルを飲んで楽しんで生きつづけられた

あのパワーはなんだったのか

4階まで

4往復のバケツリレーしても

会社で連日寝泊まりしても

しんどくなんてなかった

楽しかった

あえて楽しく過ごそうとしたのかもしれない

死が近くにある

近くにご遺体がある経験なんてなかった

その頃は涙もろくもなり

不安定だったが

仕事で支え

仕事に支えられていた

▶︎前回の記事 Iさんに聞く 前編(原郁海)