第11回 1.17震災祈念コンサート(佐治千恵美)

remember117

今年は2020年……阪神・淡路大震災が発生してから25年。

神戸市長田区にある神戸常盤アリーナにて「1.17震災祈念コンサート」が催されました。このコンサートに出演するhuman noteのリーダー寺尾仁志さんからのお誘いもあり、行ってきました!

 

15時、11回目となる「1.17 震災祈念コンサート」が始まりました。

まず最初に、神戸市立高羽小学校 しあわせを運ぶ合唱団が登場。

・歌は音楽の天使

・笑顔の向こうに

・しあわせ運べるように

の3曲を披露。「しあわせ運べるように」では振り付けとともに歌っていました。

次に、神戸常盤女子高等学校 コーラス部の登場。

・ハナミズキ

・いのちの歌

・群青

・いのちの記憶

の4曲を歌い、映画で聞いたことがある曲もありました。

続いて、被災地や海外で歌を届けているシンガーズグループhuman noteが舞台に。人数の多さ、真っ白な衣装に目が奪われます。震災のコンサートだから静謐な曲なのかな、と思っていましたが、6曲全てが元気を与えるような歌でした。

印象的だったのは、曲間のトーク。被災者がhuman noteに参加しての思い、被災地で歌うことでの葛藤などを語っていました。

最後にhuman note、神戸市立高羽小学校 しあわせを運ぶ合唱団、神戸常盤女子高等学校 コーラス部、さらに一般参加シンガーも登場。この度一般参加シンガーの皆さんは「令和ハピネスシンガーズ」と名付けられ、大人数での合唱が始まりました。舞台の上だけでなく舞台の下にも歌い手たちが広がり、声量・手拍子・会場を大きく使った合唱に迫力を感じられました!


参加者インタビュー

①神戸常盤女子高等学校 コーラス部

部長 船﨑さん 副部長 田村さん

合唱直後に部長と副部長のお二人にインタビューしました。

歌い終わった率直な感想を聞いたところ、「とても緊張しました!!」と。何百人も前にして歌を披露したことがないから今までで一番緊張したそう。

震災に関するコンサートということで選曲では命の大切さをつづった歌や震災をきっかけに作られた歌を選んだとのこと。

②一般参加シンガー 石村恵子さん

歌い終わりの笑顔・汗かいた姿が印象的な女性にインタビュー。

歌い終えた感想は「すっきり!爽やか!」。

参加するきっかけは5年前のコンサート。聞いたときに感動して、翌年から毎年参加。

このコンサートは小さな子も震災について知ることができる、いつ起こるかわからないことを考えられる機会だそう。

③一般参加シンガー 山本美侑さん

小学生の山本さん。なんと幼稚園の年長の頃から参加し5 or 6年目になるそう(自身も正確な参加年数がわからず)。

参加のきっかけはお母さんがhuman noteのメンバーだから。当日お母さんは参加していないそうですが、親子一緒に歌で元気を届けているのは素敵ですね!

④human note (右から順に)兵谷さん、坂さん、岡本さん、髙須さん

human noteは被災された人たちに元気になっていただけるよう意識しているそう。震災とはいえしんみりさせないように明るい曲を歌ったり、服の色も白色に統一。

「歌を約5分の物語として言葉・気持ちを届けていきたい」


コンサートを終えて

“震災祈念コンサート”は一見すると悲しみに浸る場のように思えるが、そんなことはなかった。しあわせを運ぶ合唱団は衣装で青いマントを羽織っていたり、human noteは手を掲げながら歌っていたり。歌で明るさ・元気を与えようとしていた。

思い起こすと、暗いコンサートって聞いたことがない。私にとってコンサートといえばライブだが、ライブでは観客を楽しませようとパフォーマンスしてくれる。コンサートをする人たちも歌を楽しんでいる観客を見る方が気持ちよいだろう。

インタビューで「このコンサートで感動して、翌年から歌い手として参加するようになった」と聞いた。この“感動”とは気持ちの高揚だったのではなかろうか。歌は私たちを楽しませてくれる。前を向かせてくれる。

歌われた曲も、暗めな曲や悠々とした曲ばかりでなかった。強く生きることを謳った曲や命がテーマの曲、元気を与える曲など内容は様々。思ったのは、歌は明るい内容でも暗い内容でも受け入れる。悩みだって聞いてくれる。包容力があるのだ。どんな内容でもリズムに乗って運んでくれる。私たちは歌詞の意味なんて知らずに歌ったり、大勢で歌うこともある。歌っている時には隣の人との距離なんて気にしないけど、意外と近い時がある。

コンサートの参加者たちも、歌って感動を届けたい、息子・娘の歌う姿が見たい、コンサート参加のお誘いがあったから、震災の記憶を忘れたくないなど様々であった。コンサートも色んな人を受け入れる。隣の人は知らん人だが、同じ方向向いている。 コンサートって混沌としててもつなげる力がある。

 

▶︎前回の記事
音楽を楽しむ心を~ボランティアって意味あるの?~(佐治千恵美)