あなたのことを忘れていませんよ(林 凌大)
2019年9月9日、僕はひょうごボランタリープラザの所長 高橋 守雄さんの元へ訪ね、インタビューをさせていただきました。ここからは、その時に印象に残った言葉や話について書いていきたいと思います。
1.あなたのことを忘れていませんよ
インタビューをする前、僕はボランティアに行っても緊張して本当に支援できているのか不安だったし、迷惑になってないかなとかそもそも偽善なのかなとうだうだと考えていました。しかし、インタビューをした後はそういう考えをすること自体あまり意味がなかったのではないかと考え方が変わりました。
なぜなら、高橋さんに他者からの評価は気にしなくていいし、被災された方に笑顔と元気を届けるだけで十分だと言っていただけたからです。
その時の高橋さんの何かに訴えかけるような強い眼差しは僕の心を大きく動かしました。
お話を聞いていると、発災直後はボランティアが集中しても、時間が経つにつれてどんどん数が減っていくために被災者の方は自分達は忘れられているのではないかと思い、孤立感、孤独感を感じるそうです。しかし、そこに被災当時の話や他愛もない世間話を聞いてもらえる相手がいるだけで十分救われるというというお話も聞きました。自分はそういった存在になれていただろうかと思いました。それと同時に、そういった孤立感、孤独感を感じないように、あなたのことを忘れていませんよと感じてもらうために自分達がボランティアに行く意義がそこにあるのではないかと思いました。そう考えると、高橋さんにとても勇気をもらい背中を押していただけたような気がします。
インタビュー後の9月末に僕は平成30年7月豪雨災害で大きな被害を受けた広島県の坂町に傾聴ボランティアへ行きました。インタビュー前に広島県の坂町へ傾聴ボランティアに行った時は、被災当時の話を聞かなきゃという気持ちばかりが先走ってしまっていました。60代ぐらいのおばあちゃんとお話をしていたのですが、中々距離を縮めることができずに、むしろ自分が気を遣われてしまって、その雰囲気が感じ取れるおばあちゃんの目や表情を見たときにとても申し訳ない気持ちになり心が痛みました。
その後2週間ほど経って、ひょうごボランタリープラザの高橋所長にインタビューをさせていただく機会をいただきました。その時に高橋さんに自分がボランティアに行って本当に被災者の方達に何かしてあげられているのか、励みになっているのか悩んでいることを話しました。すると、「被災された方に笑顔と元気を届けるだけで充分」という答えをいただき、そうかそんなに難しく考えることなく自然体でいれば良いのかと思いました。
その言葉を常に意識しながら、もう一度9月28日、29日に広島県の坂町へボランティアに行きました。
その時は現地の方達と一緒にそば作りをしました。
蕎麦の生地をこねながら、「そば作りとかしたことありますか?」とか「結構難しいですねー」なんて会話をしながら、自分の大学での勉強の話やおばあちゃんのお孫さんの話など他愛もない世間話をたくさんしました。そうすると、ふとした時に被災した当時のことや今でも雨が降ると怖いと感じるなどといった話をしてくれるようになりました。前回では聞くことができなかった話をたくさんしてもらえました。
少しは信用して貰えるようになったのかなと思ったし、最後に「わざわざ兵庫県から来てくれてありがとう」と言っていただけてとても嬉しかったです。少しは笑顔と元気を届けることができたかな?と思いました。高橋さんにはこれからの自分のボランティアの仕方を変えていただきとても感謝しています。
2,支援の数珠つながり…?
支援の数珠つながりと聞いて何を思うでしょうか?支援と数珠?どうつながるのだろうと思うかもしれません。しかし、これは端的に言うと、ボランティアを継続することの大切さを表していると思います。
高橋さんは、兵庫県が東日本大震災が起きた直後からボランティアに行き、それが今でも続いているのは、直後から参加した人たちが築き上げてきたつながりがあるからこそで、ボランティアにいった人は一回しかボランティアに行っていないと思ったとしても受け手からすると、兵庫県から毎年支援に来てくれてありがとうと思うのだと、そうやって数珠のようにつながっていくことが支援の数珠つながりだと仰られていました。
災害ボランティアと聞くと、泥かきなどをイメージしますが、前に述べたように”自分は忘れられてしまったのではないか”と感じる人もいるのであれば、傾聴ボランティアなどを通して支援を継続することもとても大切であることを改めて学ぶことができました。それと共に、一言で災害ボランティアと言っても支援の形は1つではなく様々にあって、それには人の繋がりが必要なものもあるということも学ばせていただきました。
3.これからも
僕は最後に高橋さんに「ボランティアをするときの準備というか、心得はなんですか?」という質問をしました。高橋さんは、「支援先の被災状況やどういった災害だったのかをしっかりと事前に勉強すること」とおっしゃられました。
事前に勉強していれば、現地の方と話をするときに共感したり、失礼になることを言ってしまうのを防げるかもしれないからだと思います。
事前に勉強をするというのをあまり意識したことがありませんでした。確かに実際にボランティアに行った時ももっと起こった災害について知っていればなぁと思ったことがあったし、今思うと事前に勉強して行かないのは被災地に対して失礼になるのかなと話を聞いた時に思いました。
どうしてもボランティアをする前の準備としては、何が必要かなと形のあるものしか考えていなかったけど、事前の知識という形のないものの準備が重要であるということを気づかせていただけました。
-最後に
高橋さんはボランティアには若者の力が欲しいとインタビューを通して、強くおっしゃってられました。台風19号による風水害などの被害などがあり、今後も災害というものは増えてくると思います。その分ボランティアというのは必要になってくるだろうし、ボランティアの重要性というものにもより注目されてくると思います。だから、僕はこのインタビューで学んだことを踏まえて今後もボランティアを続けていきたいと思います。
▶︎前回の記事 何となくすることがなかったからボランティアをした(林 凌大)