母と商店街と串刺しホルモン(岡田ほのか)
私はインスタ映えを狙ってキラキラした世界を演出しているパンケーキ専門店より人情味や生活感のあふれる商店街の方がよっぽど落ち着く。私のように商店街に愛着をもつ人々は多いはずだ。いつものお店でいつもの店主と何気ない会話を交わす。その中で信頼関係が築かれていき、安心というなににも変えがたいものが生まれるのではないだろうか。
私が商店街に魅力を感じ始めたのには母の影響が大きいといえる。
母は幼少期神戸で育ち、近所にある湊川商店街にいっていたそうだ。そこにある精肉店の串刺しのホルモンをよく食べていた。その味を今でも忘れられないといい、神戸に行くとよく買ってくる。
私は母が子供の頃に口にしていたものを変わらない味のままで一緒に食べられているということに幸せを感じる。
私は商店街の醍醐味はそこにあるのではないかと考える。商店街という空間に入るとまるで数十年前にタイムスリップしたかのような感覚に陥る世界観に母もきっと魅了されているのだろう。また私も魅了されている一人だ。
ワンクリックで簡単に買い物を済ませることができる今、人と人との繋がりを構築することのできる商店街に再度目を向け直すべきであるのかもしれない。商店街はひとつの店では成立しない。複数の店が立ち並ぶことで商店街となり、それを目的に人がやってくる。街全体を活気づける役目を担っているともいえる。
私は大学の講義で兵庫県宍粟市の町おこし協力隊の方にお話を伺ったことがある。商店街が活気づくか否かはその街の住民の考えによって大きく変わってくるそうだ。若い人が多かったりもっと商店街を通して街を元気にしたい!と考える人が多い地域は商店街が自然にいきいきしてくる。一方で、この商店街はもう終わりや、、と消極的であればあるほど商店街の元気がなくなる。私は震災が起こったとき、両者の立場に立った商店街少なからず存在するんじゃないかと疑問に思い、調べたいと思った。